マクロ経済学について
今回はマクロ経済学についての記事です.
個人的には、世界の景気動向や政治動向について明確な分析手法になりうるという点でマクロ経済学の方が好きです.
ただ一方で,問題関心がどこにあるのか,どのように数理ツールを用いて分析を進めていくのかという観点については、初学者の方にはかなりとっつきづらい箇所であることも事実です.
今回はそうしたマクロ経済学の対策について述べていきます.
再度注意書きですが,
本参考書リストはあくまで公共政策大学院や公務員試験を検討されている方向けのものであり、研究者およびエコノミストを志されている方にとっては易しすぎるものとなります。あらかじめご了承ください.
今回の記事執筆にあたっても、同期OBOGの意見を参考にさせていただきました.
院試対策に必要な基本参考書について
超初級編:「マクロ?でかそう」みたいな感想をお持ちの方
ミクロ経済学の記事でも述べたように,まず最初は薄い本で概要をつかむことをお勧めします.
初級者向けにと言いながらマンキューを進める方もいらっしゃるようなのですが,実際に独力であれをしっかり理解しながら読み通せるか、個人的には疑問です.
(もちろん素晴らしくわかりやすい書籍なのですが...)
マクロ経済学 -- 入門の「一歩前」から応用まで (有斐閣ストゥディア)
- 作者: 平口良司,稲葉大
- 出版社/メーカー: 有斐閣
- 発売日: 2015/10/23
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- この商品を含むブログを見る
入門にお勧めの教科書です.有斐閣ストゥディアの社会科学シリーズは良著が多いイメージです.
アマゾンレビューにも記載されていますが,高校の政経の科目の延長線上のような形からスタートします.
”応用まで”と名のついている通り,中級的な内容にも一部踏み込んでいることや,初学者として初めてマクロ経済学に取り組むということも考えると,
こうした入門書の記述を一言一句理解するというよりも,
「何を」「どうやって」「何のために」分析を進めていくのか
をある程度頭に入れておくことが大事かなと感じます.
こちらの書籍も同様で,「犬本」と呼ばれていました.(通称なのかどうかはわかりません)
上述したように,こうした書籍に触れる中では必ず「理解しがたいもの」が登場します.独力で各書籍を調べつつ...というのももちろん力にはなるのですが,
大体序盤で躓くところは語義解釈や,細かい論点など大事なところじゃなかったりします.そのため,学部生の方はTAさんに質問してみたり,教授のオフィスアワーに質問しに行ってみるのもいいかもしれないです.
質問の仕方も大事になってくるので一応参考程度に私のケースを記載しておくと,
・躓いている箇所の特定
・なぜ当該箇所が重要と考えているのか
・自分なりの当該箇所の解釈
・当該概念・理論が理解できるとうれしいこととは何か
について意識しながら質問をしていました.
このことによって,より生産的に質問が進められると思われますので,
オフィスアワーに質問しに行こうかと考えている学生は,研究者の時間を無駄に奪わないように,上記のことを意識するべきと考えます.
初級編:マクロ経済はどうやらミクロのそれと様子が違うぞと気づき始めた方
初級編とは銘打っていますが,基本的に公共政策大学院で必要になってくる知識レベルの7割はこちらでカバーできます.
実際に同期の中でも,下記の中谷マクロ・福田マクロしか使用していない学生もおりました.
当初は公務員試験の問題集を掲載しようかと考えたのですが,そうした問題集を理解しながら効果的に進めていくうえでも,中谷マクロ・福田マクロが最も効果的と考えます.
恐らくGrasPP同期のほとんどが対策に用いていたと思われる中谷マクロです.
公務員試験に不安がある方でも,こちらの書籍を一読しておくことをお勧めします.
図書館にも何冊も所蔵されていたため,かなり需要があると勝手に見込んでいます.
同期OBOGが愛用していたことからもわかる通り,教科書・参考書としての完成度が非常に高いです.
理論が述べられた後に演習問題がT/F形式と記述形式でついており,さらに演習書ではよく問われる計算問題まで含まれています.
超初級編においては一言一句理解する必要はないと述べましたが,本書に限っては一言一句理解するように努めることが重要です.
本書は中谷マクロと比較すると分量は少なめであるものの,中谷マクロで理解しておくべきエッセンスが凝縮されています.
直前期に知識の穴埋めをしたいと思って通読したのですが,2時間ほどで読み通せる文量でありながら,あまりの充実度に驚いたのを今でも覚えています.
こちらにも演習書はあり,活用することで合格に近づくことはできると思うのですが,やはりそれでも中谷マクロは一読しておく必要はあるんじゃないかなと個人的に感じています.
公共政策大学院の経済学で求められるレベルはここまでで大部分を網羅できますが,きちんと胸を張って「使いつぶした」と言えるようになるまで咀嚼しきってください!
国家公務員試験総合職を受験される場合も,本書+予備校のテキストなどで十二分に対策が可能と思われます.
中級編:一応通読したけど,なんか簡単すぎないか?と感じられている方
マクロ経済学 新版 (New Liberal Arts Selection)
- 作者: 齊藤誠,岩本康志,太田聰一,柴田章久
- 出版社/メーカー: 有斐閣
- 発売日: 2016/04/08
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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これら三つの書籍はすべて完成度としては最高のものなのではと個人的に考えています.まず中谷・福田マクロで基本を押さえた後,マクロ経済理論をより厳密に数理的に裏付けしているものが以上の3つになります.
中谷・福田マクロを通読し終えて物足りない方は上記の書籍で理論の学習および演習を積むと試験本番でかなり自信が持てるのではないかと考えます.
NLAと二神マクロは,動学マクロ経済学にも言及されているため,大学院に入学してからもたびたび参照する機会がありました.
もし時間があれば,これらの書籍に目を通しておくのもお勧めします.
(本原稿を読んだ同期より,「最近は難しくなっているからここのあたりの書籍も結構しっかり演習積んでおくべきでは?」とのアドバイスを受けました.また最新年度過去問を調査したのちに追記いたします.)
上級編:追記予定
Advanced Macroeconomics (Mcgraw-hill Economics)
- 作者: David Romer
- 出版社/メーカー: McGraw-Hill Education
- 発売日: 2018/02/19
- メディア: ハードカバー
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- 作者: デビッドローマー,堀雅博,岩成博夫,南條隆
- 出版社/メーカー: 日本評論社
- 発売日: 2010/03/19
- メディア: 単行本
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